M-1グランプリ2019①

 大方が見た通り、近年最もハイレベルと言っていい稀に見る熱戦・激闘。最終決戦に残った3組はどれが優勝してもおかしくない出来・インパクトだったので、ミルクボーイの優勝に異論はない。

 だが私の中では、頂点はかまいたち。最終年限となる場で、コント師でもある彼らの漫才への取り組みの集大成とも思える最高の話術と仕上がりを見せた。

 ただ今大会は、7組の初出場組に外れがなかったことにも表れているように下からの押し上げがはっきりとした流れになる中で、M-1本来の趣旨である発掘・助成回帰への契機となる大会となった感がある。昨年の霜降り明星優勝もそうだったが、勢いや熱量が練度や完成度を凌ぐ傾向が一層強まっているのだ。これは勧進元吉本の機を見た経営政策かもしれないし、そんな政策よりもっと大きな漫才界・お笑いの世界の潮流かもしれない。
 どちらにしても審査委員長格の松本はそうした流れを十分弁えていただろう。何が飛び出すか分からない状況下で周囲のすう勢に目を光らせるような動きは少なく、各組終了の瞬間や審査前のクローズアップに(評価とは無関係に)色々表情を作る余裕すらあった。「さあ、波を摑まえる若手コンビは誰だ」状態だったろう。
 裏本命と一部で言われていたというミルクボーイが期待通り弾けて躊躇なく高得点を投じられる状況となり、手放しで褒める松本延いては吉本はしてやったりであったろう。ミルクボーイ当人は驚きの方が先に来ているようだったが、一世一代の場で最高の出来映えを披露し期待と時代の要請に応え得たのは、彼らの実力と天運が相まったものと言えるだろう。

 その点、かまいたちは時の運に背かれた。
 また、個人的にキャリア最高の出来と思えた前々回および新境地に積極的に挑んだ前回と、優勝して全くおかしくない出来でこれを逃した和牛は、もう少し長いレンジで天運に見放されたと言えよう。あと2年権利のある彼らは今大会を最後とする意向だという。彼らの置かれた状況からすれば冷静な見極めと言えるかもしれない。

 結成は前後するが同期だというかまいたちと和牛。コントにも注力したかまいたちに漫才では和牛が先んじていたが、ここにきてしゃべくりでM-1に挑むかまいたちが追いついてきた感があった。
 しかし、昨年大会では和牛をしのぐ出来とも見えたかまいたちが4位にとどまり、今年は最終演者ぺこぱの大まくりで和牛が4位に落ちて、結局M-1最終決戦で両者が相まみえることはなかった。つまり直接優劣比較の対象とはならなかった。もし人気実力伯仲のどちらかを選ばなくてはならない状況となったら…最後は好みと言いながら、吉本3人が含まれる審査員たちの懊悩もひとしおだったことだろう。ちなみに、3位ぺこぱと4位和牛の得点差は2。92点でも94点でも、もし松本が両者に同じ点をつけていれば同点同位だった。

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